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短歌集「残照の章」

沙羅双樹の ゆれる葉陰に 指折らば
 三十七年は うたた うたた寝


サラソウジュの ゆれるはかげに ゆびおらば
 さんじゅうしちねんは うたた うたたね

亡夫三十七回忌なり


汝れは生き甲斐と 抱きくれし 夫ひたすらに
 我こそしかく 今日迄を来つ


なれはいきがひと いだきくれし ツマひたすらに
 われこそしかく きょうまでをきつ

三十七年をたどる・・・


薬投ぜし 湯けむり立てて 秋霖の夕べ
 冷えてぞあろう 夫(つま)の背を待つ


くすりとうぜし ゆけむりたてて しゅうりんのゆうべ
 ひえてぞあろう つまのせをまつ


痛む胃に 耐えかね起きる 夫の背を
 さすれば 骨の継ぎ目 触れたり


いたむいに たえかねおきる つまのせを
 さすればほねの つぎめふれたり


その痛み 変わりようなし やるせなし
 夫(つま)の背越しに 靄の晩秋


そのいたみ かわりようなし やるせなし
 つまのせごしに もやのばんしゅう


秋の夜なが 語りつかれて 夫(つま)と共に
 冷めぬ目交わし 歯を磨き合う


あきのよなが かたりつかれて つまととも
 さめぬめかわし はをみがきあう


添ひてより 薬忘れし日 わずかなれば
 厄の峠は 抱き合うて越えなむ


そひてより くすりわすれしひ わずかなれば
 やくのとうげは いだきあうてこえなむ

生命の区切りとして三十七年をたどり続ける


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コメント

カトリック洗足教会

先日、上記、カトリック洗足教会の追悼ミサに出席してきました。
ミサ終了後、日墺文化協会(日本とオーストリアの友好親善の会)の事務局の方とお会いし、
今春開催のコンサートの打ち合わせが入り、お近くまで来ましたが寄れませんでした。また、暖かくなった時期にでも、改めてお伺いしたいと存じます。

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書き込みありがとう

天崎温子殿

ありがとう。
また、遊びに来てください。

北井様

かつて、我々は生命の存在と時を共有できました。
かけがえのない幸せとして痛感しています。
北井さんありがとう。

行き交う電波をつかまえ、
「文芸本陣」をこの日本の空に、思いのたけをのせ、
飛ばしてみたいです。

先日は、お疲れ様でした。

先日は、遅くまでお疲れ様でした。
久しぶりにお会い出来て昔話など楽しいひと時でした。

ところで、昨年、約半年ほど、「平家物語」の勉強会に通い、沙羅双樹のことも少し学習して来ました。

いずれ、「平家物語」の全部分でなくとも、どこか、一箇所を選択し、ミニ・オペラなど作曲
しようかということも念頭に置いて、学習しました。

お久しぶりですー!

 ブログでのご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません!
 天崎温子です。お元気ですか?

 今回の歌は、悲しいような、切ないような。胸がつまります。お母さんのお話をお聞きしたせいか特に。
 二番目の歌が、私は特にせつなかったです。同時に、秋だなぁと思いました。

 なぁんて、こういうことを書くのは生意気ですか?
 新岳さんのブログもそうですが、文を書き続けてらっしゃる方の、ブログへ書き込むのはとても緊張します(笑)文字だけで伝える事は私にはとっても難しいです。
 でも、またお邪魔しますね!

 そして、こちらも遅くなって大変申し訳ありません。私のブログにお母さんのリンクをはらせて頂きました。お母さんや新岳さんのブログと、私の駄文ばかりのブログが繋がっていていいものかと思いますが、よろしくお願いします。精進します。

 では、失礼します!

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プロフィール

可久鼓桃

Author:可久鼓桃
東京・京橋生まれの神楽坂育ち。
江戸っ子3代目。
昭和4年生まれの88歳。
短歌、詩、小説、絵画など幅広く表現。
運命鑑定家でもある。

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