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短歌集「残照の章」

沙羅双樹の ゆれる葉陰に 指折らば
 三十七年は うたた うたた寝


サラソウジュの ゆれるはかげに ゆびおらば
 さんじゅうしちねんは うたた うたたね

亡夫三十七回忌なり


汝れは生き甲斐と 抱きくれし 夫ひたすらに
 我こそしかく 今日迄を来つ


なれはいきがひと いだきくれし ツマひたすらに
 われこそしかく きょうまでをきつ

三十七年をたどる・・・


薬投ぜし 湯けむり立てて 秋霖の夕べ
 冷えてぞあろう 夫(つま)の背を待つ


くすりとうぜし ゆけむりたてて しゅうりんのゆうべ
 ひえてぞあろう つまのせをまつ


痛む胃に 耐えかね起きる 夫の背を
 さすれば 骨の継ぎ目 触れたり


いたむいに たえかねおきる つまのせを
 さすればほねの つぎめふれたり


その痛み 変わりようなし やるせなし
 夫(つま)の背越しに 靄の晩秋


そのいたみ かわりようなし やるせなし
 つまのせごしに もやのばんしゅう


秋の夜なが 語りつかれて 夫(つま)と共に
 冷めぬ目交わし 歯を磨き合う


あきのよなが かたりつかれて つまととも
 さめぬめかわし はをみがきあう


添ひてより 薬忘れし日 わずかなれば
 厄の峠は 抱き合うて越えなむ


そひてより くすりわすれしひ わずかなれば
 やくのとうげは いだきあうてこえなむ

生命の区切りとして三十七年をたどり続ける


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短歌集「十五歳の敗戦」その2

蔦の葉の 校舎に軍靴 走りゐて
 程なく国はあわれ 崩れ落ちぬ


つたのはの こうしゃにぐんか はしりいて
 ほどなくくには あわれくずれおちぬ


ひまわりも うなだれている 敗戦日
 電柱にあるは 「打ちてし止まむ」


ひまわりは うなだれている はいせんび
 でんちゅうにあるは うちてしやまむ


汗染みの 日の丸鉢巻 ほどき捨て
 ギラリ敗戦の陽は 心突き刺す


あせじみの ひのまるはちまき ほどきすて
 ぎらりはいせんのひは こころつきさす

学徒動員でした。大崎・明電舎の中庭で昭和天皇のお声をはじめて拝聴す

平成19年夏


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プロフィール

可久鼓桃

Author:可久鼓桃
東京・京橋生まれの神楽坂育ち。
江戸っ子3代目。
昭和4年生まれの88歳。
短歌、詩、小説、絵画など幅広く表現。
運命鑑定家でもある。

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