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ここは五反田・病院の個室にて

ここは五反田

~病院の個室にて~

 ここは五反田。かつて駅の隣にキャバレーがあった。そのキャバレーは駅の壁に寄りかかり、ネオンの光をべたべたときらめかせていた。キャバレー「カサブランカ」だと記憶している。終戦時、日の丸はち巻にモンペ、父に持たされた鉄カブト等々のいでたちにて、隣の大崎駅前、明電舎内中庭にて、戸惑いの涙に我々一同、身を浸した敗戦。何の打ち合わせもないまま、皇居前に参集して、玉砂利をつかみ号泣す。先の見通しもなく、我々の青春の幕は、よたよたとあがって行った。怖さより時が怖さをもつかみ、引きずって行ったものだ。

 只今、八十路に入り、股関節にメスが入った。人口股関節置換手術である。去年の脊椎管狭窄症の手術に続くものだ。数年前には両目にレンズを入れている。身体の一部がサイボーグ化してゆくようだ。がむしゃらに命を削った過去よ。この老いし夢追い人に、人の世の味を加味し、再びの夢追い人として立ち上がる知恵と力を与え給えかしと・・・。

 (可久鼓桃)

 
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プロフィール

可久鼓桃

Author:可久鼓桃
東京・京橋生まれの神楽坂育ち。
江戸っ子3代目。
昭和4年生まれの88歳。
短歌、詩、小説、絵画など幅広く表現。
運命鑑定家でもある。

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